2025/05/10

ハルタ111号


 この号は今東(こんどう)ともよさん「午前二時は食卓で」が新連載、浅井海奈さん「八百万黒猫速報」が最終話でした。そして書店購入特典「わんわんわん!フェローズ」。「犬」縛りでこれからの方・終えた方を含め連載作家たちが、普段と違う顔を見せてくれたゴージャスな企画でした。特に長蔵ヒロコさんは異色だったし飴石さんも完成度はイマイチながら違った印象でした。最初の2作品はそこから取り上げます。

テラコッタの温度 読切 樫木拓人さん


 クレジットがなかったら多くの方が樫木作品と気づかなかったと思います。いつもよりも写実的な絵、しかもSFです。画像のように表情の変化を複数コマで追ったりとか、「ハクメイとミコチ」ではほぼ見られない描写が新鮮でした。

首輪の女 読切 野澤佑季恵さん


 Xにポストされているイラストを見ていると、「花園に幹が立つ」よりもこちらの方が本来の野澤さんに近いのかな、という気さえしてきます。太陽の差し込まないフェティッシュな世界。

春日出はバスで眠る 読切 西田心さん


 まだ連載に至っていないハルタ作家さんの中でも、東金桜さんと並んで連載を読んでみたい西田さんですが、デビューからこの時点で4年近く経ってますので難しいのかな…。バスで眠るうちタイムスリップして、離婚した両親の初々しい10代の頃に触れる少年の話。確かな絵、押し付けがましくないヒューマニズム、いいです。西田さんは「バスジャック二度としない」というタイトルの読切もありました。

八百万黒猫速報 12話 浅井海奈さん


 続いてほしかったですが…ちょっと駆け足感もありましたが、ハッピーエンドです。いい作品をありがとうございました(年間ベストに2巻の感想を書いてしまったので書くことがない)。

開花アパートメント 10話 飴石さん


 夫を喪った静子と双子の姉を喪った八千代の静かな会話。毎度の感想ですが充実しています。単行本でまとめて読むのもいいんですが、B5の画面で読むのが贅沢なんですよ。

生き残った6人によると 36話 山本和音さん


 実は連載を追っていた時点ではホテル編に入ってから少し面白さが減じた感じもあったんですが、読み直してみるとやっぱりいいというか…山本さん上手くなられたなあと改めて感じました。この頃の槙はまだ本性現してないですね。

涙子さまの言う通り 12話 山本ルンルンさん


 妹を奪還すべく犬飼邸に乗り込む沢渡。終盤に活躍のヨネ子・ナッちゃんも出てきました。