内容の割にあまり注目された感じでもなく、もったいないなあ…と思っています。冨明仁さんの海洋ファンタジー完結巻。
冨さんは2006年のコミックビーム増刊fellows!でデビュー(別PN)。08年創刊の隔月誌fellows!で「彼女と彼(下の画像)」を開始しますが3話で終わりました。
ここで私は「絵、うま!」と気に入りまして、やがて始まった次の連載「玲瓏館健在なりや」にとても期待したのですが…私には絶望的に合いませんでした…もう読むのが苦行で。途中からまともに読まなくなりました。その次の本格連載「ストラヴァガンツァ」本編も冨さんには申し訳ありませんがあまり読んでません。
ただ恐らく17年頃(fellows!から誌名が変わっての)ハルタの担当編集さんがそれまでのOさんからMさんに替わり「ストラヴァガンツァ」の番外編というのが始まりました。これまで双方の編集さん担当の作品を読んで来て、Oさんはあまり後先考えずその場その場で作家をノセて描かせるのに対してMさんはネームの段階でみっちり練り上げていくタイプだと思っていますが、以後の冨さんの作風は結構変わりまして、編集の存在の大きさを感じます。
20年秋に始まった「アビスアジュールの罪人」。冨さんのトレードマーク的「女体アピール」を抑え、それまでのまとまりの無さから安定した話の運びに大きく舵を切っています。そしてタツノミヤの造形や人魚たちのファッション等が緻密に描き込まれ眼福です。
ただ序盤の展開がゆっくり過ぎて話の構造がわかるのに時間がかかったせいでしょうか、連載中の人気は上がらなかったようで、この3巻は急ぎ足の展開となりました(本来は4巻以上のスパンで考えられていたと思います)。
ですがこの作品での冨さんの熟練のペンさばき、時間をかけて考えられたデザイン。そして「人魚姫」をベースにしながら海洋活劇として大きくアレンジされたストーリー。逸品だと思います。






