2023/05/28
ことり文書 3巻 天野実樹さん
天野実樹さん初連載の最終巻です。ネットでは「なぜ終わるんだああ」という声が多かったのですが、もともと「短期集中連載」という触れ込みで始まりましたので、むしろよく3巻まで出てくれたなあ…というか、人気次第では単行本が出なかった可能性すらありました。
天野さんは20年3月のハルタ72号の読切「箱に響く」でデビューされました。読み返してみると最近の絵からは想像困難な感じで…仮に将来「天野実樹作品集」が出たとしても載るかどうか微妙ですね。ただ翌月発表された「ビターチョコミント」は「ことり文書」の初期とそう変わらない感じです(オムニバス単行本「むすんで、つむいで」収録)。
「ことり文書」はその年の11月に始まりました。当時の私は「いや連載は早すぎるだろ」と思ったのですが、見事な成長ぶりで…特にこの3巻は柔らかな線や特徴的な髪の表現など、天野さんの魅力が花開いた巻だと思います。
13歳の鳳小鳥(おおとり・ことり)。大きな屋敷で使用人たちに囲まれ満たされているように見えて、家族の不在(特に死別した母親)に寂しさを抱えていますが、それを(ウザがられつつ)支えるのが32歳の執事・白石です。
天野さんの作品を読み直していて気づいたのですが、二人の人物の会話シーンが多いんですね。抱えている寂しさや物足りなさ、お互いの不理解が会話を通じて解きほぐされ和らいでいく…というパターンです。
「ことり文書」はほとんどが一話完結のエピソードです。ともすればバラバラな印象になりがちですが、そうなっていないのは小鳥と白石という軸がしっかりしてブレなかったせいでしょう。すでに多くの方が指摘されていますが、その上に築かれた「あたたかみ」がこの作品の魅力です。
連載が終わったのを惜しむ気持ちはもちろん私にもあるんですが、次の連載はじっくり設定が考えられ準備が整ったものになるはずで、それを見たい気持ちの方が強いです。







