菊池まりこさん(「菊池真理子」という作家さんとは別人)。fellows!〜ハルタの作家群の中でも私が最も期待していた方のひとりです。その最新で、もしかしたら最後かもしれない単行本です…。
2011年「菊池るち」名義でデビューされ、改名後に始めた連載が「カプチーノ」でした。キラキラしたややハイテンションなラブコメ。菊池さんといえばこの作品という方も結構いらっしゃるようです。当時の担当編集さん(女性)は勝手に憶測するに80年代少女漫画に浸かって育たれた方で、その意向が結構反映されてたのかな…という気もします。
連載2作目の「公安部特異人種課56」以降の担当編集さん(男性)は現在スパイがタイムスリップする話を担当されてて、そういうのがお好きなんでしょう。超能力者同士のバトルものでした。編集主導で話を作るのが悪いわけではないですが、結果として菊池さんに合っていたとは言えません。私がハルタの購読をやめていた間に始まったこの連載を目にした時、「カプチーノ」の菊池さんとわからなかったです。それぐらい作品の雰囲気が違います。
時間を置いて始まった「真柴姉弟は顔が固い」。極度の表情の乏しさから「ふたりぼっち」の姉と弟でしたが、転校先の高校で少しずつ姉のあかりには友達ができ始めます(弟の透は何もなし…連載が続いていれば違ったのでしょうが)。
この作品、コメディーですしもちろんそこも面白いのですが、合間にふっと現れる少し寂しげな瞬間がいいんですよ…「カプチーノ」でも「公安部…」でも引き出せていなかった菊池さんらしさだと思います。
画力も上がりようやく本領発揮か…と期待しましたが、いかんせん健康上の理由ということで連載が続きませんでした。単行本の表紙イラストというのは作家さんにとってキャリアを左右する存在でみなさん力を入れられてますが、この表紙は連載原稿から再構成されたもので、新規にイラストを描ける状態ではないということですね…。