2023/07/17
花園に幹が立つ 1巻 野澤佑季恵さん
2年前の21年7月15日に読切「知らず知らずの姉妹」でデビューされた野澤さんの初単行本。連載は22年11月に始まりました。私が読みたい漫画を「掘る」ようになって約45年、この短期間でこれほどの絵を描けるようになった方というのは記憶にありません。
100年以上の伝統がある「女子校」が共学に舵を切ったものの、入学した男子は(特待生の)学費免除が目当ての遠野幹(とおの・みき)ただ一人だった…というシンプルな設定です。クラスの女子たちのうちメインヒロインが源瞳(みなもと・ひとみ)、サブが遠野くんと中学が同じだった三枝音(みえだ・おと)。
不純異性交遊禁止の校則に背けば特待生待遇を失う遠野くんですが思春期男子、葛藤はありますよね。周囲の女子たちも(戸惑い・反発もありながら)徐々に彼を受け入れていきます。
野澤さんの魅力はなんといっても絵、特に流麗な線です。デビュー当初は構図が固定されがちとか問題点もありましたが、連載を続けるうちに大幅に良くなりました。過去に髪型がテーマの読切「FUN FUN CUT」を発表されてますが、女の子たちの描き分け(特に髪型)はすごいです。課題はストーリー面ですかね…伏線らしきものがほとんどなく、1話ごとの話の起伏も平板な感じです。「学園(ハーレム)ラブコメ」ではあるんでしょうし期待する方がおかしいのかもしれませんが、精神面の深みみたいなのはまだまだで、キャラが本当に「生きている」ところには至っていません。
とはいえ、伸びてほしい・売れて欲しいと思う新人さんの筆頭であることに変わりはありません。