24年は新規開拓がはかどらず、23年のベストとあまり変わりばえしないラインナップになっちゃいましたかね…相変わらずハルタ系メインです(購読しているアフタヌーンの単行本が1冊だけというのは自分でも意外でしたが)。10作中、2巻が6冊というのは期せずして、です。
10位 夏目アラタの結婚 12巻 乃木坂太郎さん
掲載誌のスペリオールがどんどん自分の好みから遠ざかっていって、連載のクライマックスはこの単行本で読む形となりました。最終巻になってもまだ明らかにされる謎…ストーリー構成と画力の両面で最後までダレず読者を圧倒させた、凄い作品でした。実写映画化もされましたがあまり話題にならなかったのは残念。
9位 エイタパ・ニーチ協奏曲 2巻 あべまりなさん
この方も青騎士で知ったので、広い意味でハルタ系。ふんわり緩いファンタジー…という路線は1巻と変わらないんですが、ペンタッチが細やかに的確になり、構成も含め着実に漫画が上手くなりました。緩いと書きましたが、ただ緩いだけではないですね。現在連載中の「ルエント幻獣調整師」はよりマニアックな感じですが大丈夫なんだろうか…まあ「あすか」自体あまり売れてる感じじゃないし、いいのか…いいのか??
8位 ピッコリーナ 2巻 大槻一翔さん
絵の美しさにますます磨きがかかっている…のはいいのですが…薄々わかってはいましたが、ストーリー作りが苦手なのがはっきりしてしまった大槻さんです。でもいいんですよそれは!ついていきます!と思っていた矢先の2巻で終了(大人の事情)…やっと人気が広がってきたと思ったのにぃっ…。
7位 私のブルーガーネット 1巻 秋山はるさん
2巻のみと短命に終わった「イベリスの花嫁」の後、白泉社メロディに移籍しての1巻。前作の苦味というか閉塞感(いい意味で)は少し薄れて、少なくともこの巻では車窓から入り込む潮風のような(そういうストーリーです)爽やかさも感じます。今作、前よりもセリフが磨かれたというか、決めのシーンで印象的に入ってくるんですよね。編集さんが変わったせいなんでしょうか。隔月誌なので年1ペースですが(そういえばこの年間ベストはスローペースな作品が多い)ぜひ3巻4巻と続いてほしいです。
6位 花園に幹が立つ 3巻 野澤佑季恵さん
私のエコヒイキ作家さん。連載後半はこちらの事情であまりちゃんと楽しめず、単行本で通して読むことで良さを噛み締めることができました。登場人物たちの気持ちを丁寧に掬い取ってましたし、言うまでもなく絵が素敵です。野澤さんって話の組み立てがどこか理屈っぽいところがあって、そのせいなんでしょうか今いち人気が広がらないんですが、私は応援してます!この連載ですごく成長したと思います!次の連載も待っております!
5位 司書正 2巻 丸山薫さん
23年のベストにも入れてまして、どうしようかとも思いましたが…入れざるを得ないです。なんたって面白いですから。この巻、衝撃の展開というよりはタメの巻という感じですが、空間的・時間的な拡がり・厚みが出てきました。最近出た3巻もけっこう話題になってるようですし、ぜひこのまま順風満帆で行ってほしい…。
4位 贋 まがいもの 2巻 黒川裕美さん
あーこれも入れるしかないわあ。「夕凪に舞え、僕のリボン」も評判は悪くなかったと思うのですが部数的にはさほどでもなかったのかな?ですが今作、勢いがついてきたんじゃないでしょうか!1巻の、追い込まれてやむなく贋作を…という心境が、この2巻の最後の方では変わりはじめてます、はっきりと。絵も1巻以上にいいんですよね…でも(3巻収録分の)連載の現在形はやや淡白な絵になってきてるのが少し気がかりです。
3位 八百万黒猫速報 2巻 浅井海奈さん
この作品、連載前半はなかなか調子に乗れずもどかしさを感じていたのですが、この2巻で浅井さんの絵は大きく花開いたと思います。前に書いた感想の繰り返しになりますが、本当に他の誰にも描けない彼女だけの絵なんですよ。ストーリー面でも、追う側と追われる側の狭間で葛藤する主人公というのは初連載の「藍鉄とポピー」とも共通していますが、より生々しく凄絶なものになっています。そして不知火の凶々しい美しさよ…!商業的にウケるかというと正直厳しいのかもしれませんが、残ってほしいなあ浅井さん…。
2位 ホテル・ローレルの渡り鳥たち 2巻 赤河左岸さん
最近メインエンジンが剥がれてどこかへ飛んでいった青騎士ですが、その創刊で私が得られた最高のものの一つがこの作品だったのかな、と思います。1巻の時から絵は素晴らしかったのですが、なかなか話の構造がわかりませんで、途中で絵だけなのかよこの作品…と思ったりもしました。しかしこの2巻後半で見事にパズルのピースがつながりまして!うわぁ…改めてこれは傑作でした!話題になってない様子なのが不思議というか…もったいないですね。
1位 ヒストリエ 12巻 岩明均さん
実質的に最終巻、ということになります。展開的にも中身の詰まりまくった巻でした。私は9巻のあたりで一度線が細くなって絵に躍動感がなくなってきてないか、と少し不満を感じていたんですが勘違いでした、この12巻で岩明さんが到達されたレベルを目にしてしまうと。何年も前からネットでは描けないなら別の絵師さんに描いてもらえとかずっと言われてましたが(AIうんぬんなんて声さえあったような)、もしそうなったとしても私は読みません。いや、そりゃ岩明さんが描かれた続きが読めるものなら読みたいですが。