2022/11/28

たまご 他5編 光用千春作品集 全1巻

   「みつもち・ちはる」さん、20年刊。ビッグコミックオリジナル増刊に掲載される読切が好きなのですが、今の掲載ペースだと単行本が早くて24年ぐらいな感じなので買ってみました。

 私は読む漫画を選ぶのにどちらかと言えば絵を重視して、美術教育を受けたデッサンのしっかりした絵が好みです。この方の絵は全くそういう方向ではないですが、引きつけられるんですよ。インタビューを読むと光用さんは美大に行かれてたそうですが。

 人として生きていく上で欠かせない他者との関わりで生ずる鬱屈。それが膨れ上がっていくさまが描かれています。子供が親に抑圧される話も複数ありますが、親がそうなってしまった原因も描かれているのであまり責められません。ですが多くの話はトンネルの先の光のように「救い」の可能性が示唆されていて、少しはほっとできます。

 いちばん好きなのは「星に願いを」、次が「エリコとカナコ」です。


 ここに収録された作品はこんな感じですが、今年発表された作品はもう少し写実寄りの絵ですし表現も進化してます。そしてこれからの作品がどう変わっていくのか、それが気になる作家さんです。寡作でも連載がなくても、こういう方がいるというのは大事なんです。